子どもが寝た後で

子育てして、仕事しながら、生き方を模索中。

石田ゆり子さんのコメント「きっと、それでいい」がいい理由

石田ゆり子さんのフォトエッセー「LILY'S CLOSET」が発売され、石田さんが自身のインスタグラムで様々な感想が寄せられていることを明かしていた。

もっとリーズナブルな服を載せて欲しかった、もっと写真を増やして欲しかった、といったネガティブな意見も少なくないという。アマゾンの口コミはさらに辛辣だった。

 

私はファッション本がわりと好きだ。プロのスタイリストやモデルだけじゃなく、有名ブロガーもファッション本を出していて、そういうものもいくつかもっている。

「すぐにマネできるかどうか」、「安い服をどうおしゃれに着こなすか」を求める読者が多いし、それに答える本が多い。石田さんの本はそういう読者には期待外れなのかもしれない。

 

でも、違う本があってもいい。私はそう思う。

 

石田さんがインスタグラムでこんなことを書いていた。

身につけるものについて書くことは

千差万別の感情を生むのだなと

実感しています

でもきっと それでいいんです

 

いいなぁと思った。

みんなにウケようとしたり、今の流れに迎合したりせず

本当に自分が作りたいと思うものを大切にして

作ったということが伝わるから。

 

そして分かってくれない人がいても受け入れる。

本をきっかけに、いろんな意見が出ること。みんなが考えること。

それでいいんだ、と。

「ごめんなさい、みんなの期待どおりじゃなくて」と卑下することもなく、

「なんでわかってくれないかな」と馬鹿にするのでもない。

その潔さがいい。

 

私がファッション雑誌を好きになったきっかけは、今から15年ぐらい前、偶然、手に取った「Domani」だった。知花くららさんが専属モデルで、圧倒的に美しかった。彼女が身につける服もバッグもアクセサリーも、10万、100万というのがざらだった。手に入るわけもない。でも、とにかく美しかった。ああ、ファッションとはこういうものなのかと目を開かされた。社会人になったものの、適当に服を買っていた私にファッションはおもしろいんだと教えてくれた。

あの頃のDomaniは本当に好きだった。ベージュという奥の深さ。ハッとする配色。シャツ1枚の着こなしへのこだわり。息をのむほど美しいジュエリー。

 

今はそれなりの服がそれなりの価格で手に入る。

雑誌も本もなんだか読者に迎合している。

でも私はもう一度、あの頃のDomaniに出会いたい。

我慢強いね、と言われた朝

めったに褒めることのない夫が珍しくつぶやいた。

「えらいね」と。

テレビに対して言っているのかと思ったら、私に向けて話していたらしい。

「本当に我慢強いね」と。

 

その日の朝、娘は保育園に行きたくないと、ぐずっていた。

どうして?と聞いても、楽しいよ、と言い聞かせても、嫌だ嫌だの一点張り。

「じゃあ保育園に行く前にパン買いに行こう」というと、娘は急に張り切って着替えを始めた。

それを見て夫がいったのだ。「君は我慢強くてえらいな。おれなら泣こうがわめこうが連れて行く」と。

パンで娘をつった私のやり方がいいのか、夫のやり方がいいのかはわからないが、

その時、私にはその「我慢強いな」が妙に残った。

 

確かに小さな頃から私は我慢強かった。わがままはあまりいわなかった。

親が厳しいわけじゃなかったが、姉としていつもがまんしていた気がする。

会社に入ってからも、結構きつい仕事も我慢してやり遂げた。

子どもが産まれて仕事に復帰してからも子どもに当たることはなかった。

今も私の娘への態度をみて、夫だけでなく、両親や妹も

「あなたはよくやっている」という。

私には、我慢している、という意識はない。

気づいたら、そういうもんだ、と思ってやっているだけだ。

娘に対してしかるべきはしかるが、自分の感情にまかせて子どもを怒ることはしない。

 

ただ、ふと、思う。

我慢強いって、損してないか?

 

産後、子宮内に何かが残っているとかで産婦人科で施術を受けたことがある。足を開いて座らされ、かなり長いこと痛みが続いた。

痛すぎて、時々意識が遠くなりそうだったがずっと我慢した。

すると医者が「あなた我慢強いね。だから麻酔使わずにやっちゃいましたよ」いう。他の患者ならとっくに根を上げますよ、といわんばかりの言いぶり。

私は啞然とした。

痛い、つらい、やめて、と言えば、麻酔を使ってくれたというのか?

 

あれ以来、我慢強いことは損なんじゃないか、と思い始めた。

 

そこへきて、最近話題の「お金2.0」(佐藤航陽)

 

著者は言う。

誰でも子どもの頃に何かに熱中した経験があるはずなのに、義務に縛られるうちに、表面に膜が積み重なって、自分が何をしたかったのかも思い出せなくなるんだ、と。それが、人の心がさびる、ということだと。

 

「やりたいこと」より「やるべきこと」を優先するうちに、いつのまにか本当は何がやりたいかわからなくなってしまう。

私にはずっとそういう自分にコンプレックスがあった。

「やりたいこと」より「やるべきこと」を優先するってことは、私が我慢強いからだと思う。

 

痛くても我慢しなきゃいけない。

眠くても、授乳しなきゃいけない。

休みたくても、仕事に行かなきゃいけない。

 

世の中、そんなことばかり。

それが変わるんだ、と、この著者も言いたいんだろう。

 

確かに、私の心はさびてるのかもしれない。

そのことを一日中やっていても飽きないこと。

夢中になれること。

そういうものをもう一度、ゼロベースに向き合ってみることから、さびははがれるのかもしれない。

我慢強さを持ちつつ、でも自分の好きなことに向き合える素直さを。

「わたしを幸せにする41のルール」に救われた

ふだんなら手にしない本だけど、昨日の私はよっぽど追い詰められていたんだと思う。書店のランキングコーナーに並んでいた。手にした理由は、それだけじゃなかった。先が見えず、どうしようもない気持ちになっていて、どこかに救いがないかとわらをもすがる思いだった。ダメなら読むのをやめればいいと思ってレジに並んだ。
一気に読んだ。
何度も救われた。


彼女も「好きなことを仕事にしたい」を貫いた人だ。
メッセージとしてはホリエモンと同じかもしれない。
でも違う。
何より私を救ってくれたのは、彼女自身が、あれこれと手を出してはぶつかったり、軌道修正したりしていたこと。宅建や簿記まで勉強しようとしてたとは。そして、「これは自分には違う」と思ったこともあったと。
シングルマザーで経済的に安定しないなか、親から援助をうけている後ろめたさもある。それでも寄り道をしながら自分のやりたいことを探して進むのは、どれほど大変だっただろう。想像もつかない。振り返れば、すべてが糧になるのだろうし、本にも書けるのだろうけれど、先が見えない時はとにかくしんどい。
そして、今の私がそうだ。
子どもが産まれて、仕事を休んで、復帰したものの、前のようには働けなくて、先が見えなくて、悶々としている。
キャリアカウンセラーに会ってみたり。
ストレングスファインダーを受けてみたり。
会計士の資格を取ろうと勉強してみたり。
ボランティアをしようとNPOに行ってみたり。
でも見つけられない。あ、ここじゃないな、ということがわかるだけ。
だから余計に焦っていた。
そういうなかで「好きなことを仕事にする」とか「好きなことに没頭しろ」といわれても、余計に気が滅入るだけだった。
そんな簡単に、好きなこと、なんて見つけられねーよって。


でも、神崎さんの本は違った。
回り道してもいいんだ、って。
あれこれ手を出してみて、これは違うな、って思うことも、無駄になっていないんだって。
考えてみれば当たり前のことなんだけど。
まずは動いてみる。それしかない。


もう一つ、印象に残ったこと。
自分の好きなことに夢中になっている人や、目指すべきものがみえていて、それに向かって努力している人は、生き生きしている、と。
納得。
今の私は、目指すべきモノがみえず、自分自身がまったく生き生きとしていない。
昨日、久しぶりに前の部署の上司にあって、鏡のようにいまの自分が見えた。前の部署にいたときは、私はもっと生き生きとしていた。もっと上を目指そう、いいものをつくりたいと思っていたし、ミーティングでの自分の発言にも自信があった。
今はそれがない。発想もわいてこない。自信を持って発言することもできない。
このまま年を取るのは嫌だ。
もう一度、動きだそう。

『10年後の仕事図鑑』に気が滅入った理由

『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文・落合陽一)を読んだ。

読んで、気が滅入る本だった。気が滅入っている自分にまた気が滅入る。
途中で何度かやめたくなった。くら寿司に行きそうもない人が、くら寿司を美化するなとか。あなたたちとは違うんです、とか。
でも、本を放り出さなかった、最後まで。そこには何かの引力がある。


自分がなぜこんなに「気が滅入るのか」を考えてみることにした。いまの自分の悩みが見えてくる気がした。


まず、「フォロー」=信用という軸が滅入る。
好きなことを仕事にしろ、とか、好きなことに夢中になって発信すればいつか仕事になるとか、言いたいことはわかるけど、結局、それを測るのが「フォロワーの数」のように言われるのが、なんとなく嫌だ。確かに落合氏ぐらい、フォロワーがいれば、市場価値はものすごく高いんだろう。
でも、ツイッターでつぶやきもせず、フェイスブックは休眠状態の私には、この「フォロワー数こそすべて」みたいな価値観が滅入る。
だからといって、2人を批判したいわけじゃなく、ある意味、言い当てていると思うからつらい。
なら、やればいいじゃん、と言われそうだ。ツイッターでもフェイスブックでもドンドンやればいい、と。


これには二つの意味で抵抗がある。
実名を出すことに抵抗がある。もちろん、出す必要はない。出さないで、自分という価値を上げていくこともできるのだろう。それでもまだ抵抗がある。たぶん、SNS上のつながりを増やしていくことが怖いのだ。つながることの喜びよりも、それに伴う煩わしさの方が勝ってしまう。SNSがない時代から、人脈には価値があったけど、私はそもそも「人脈づくり」に苦手意識がある。こまめに連絡を取る、足を運ぶ、食事をする、そういうことが好きで雪だるま式に人脈を増やせる知り合いがいるが、とても私にはできそうにない。仕事だと思ってわりきればそれなりにできたけど。(食わず嫌いみたいなものかなぁ)


もう一つの抵抗感。これは自分で認めるのも情けないが、気づいたことがある。
SNSもやらなければ、当然フォロワーもいない人間というのは、いないのと同じ、市場価値がないのと同じ、信用がないのと、同じ、という意味。それはつまり、所属する組織、肩書、経歴に意味がない、ということ。たぶん、そこが私が一番、滅入っている理由だ。
私はここに安住していた。これを手に入れるためにそこそこ努力したけど、じゃあこれで一安心とはいかないわけだ。いかに自分が「既得権」を享受していたか、そしてそれを享受し続けたいと思っているかを思い知らされてつらくなるのだ。


私は組織で生きることが案外好きな人間なんだと思う。
裏を返せば、組織から離れて、フリーで生きて行くとか、緩やかなネットワークをつくって、仲間と一緒に何かを成し遂げていく、ということが苦手な人間なんだと思う。
自分に自信がない。自分一人が魅力的な人間だと思えない。だから、人間の魅力、価値だけで人と人がつながる、ということが、どうしても理解できない。考えすぎだろうけれど。だから起業できる人は心から尊敬する。
私は組織で働く方が好きだ。このグループのミッションが何か、何を求められているか、を先読みし、結果を出していく、そして評価されていく、そのことが好きな人間なんだ。社外ではなく、社内の組織に目が向くタイプの人間なんだと思う。


嫌だけど、まずはありのままを認めるしかない。
そういう人間にとっては、この本で描く社会は、やっぱり滅入る。
好きなことをとことんやれ、仕事になるまでやれ、SNSやネットをつかって、仲間を増やせ、市場で自分の価値を作り出せ――。
そんなこと言われても・・・・。


気が滅入ったままだったが、子どもが起きるまえに朝ご飯の用意をしようと冷蔵庫をあけた。
あー、こうして毎日、淡々と、ご飯をつくり、洗濯をして、出勤して、一日が終わる、なんていう牧歌的な時代がよかったなぁとつくづく思った。
ホリエモンは、将来を心配するな、今を楽しめ、というけれど、未来が安心して続いていくと思うから、人は今を楽しめるんだよ、と言いたい。少なくとも私はそういうタイプだ。
でも、テクノロジーの進化は、待ってはくれないみたい。5年先、10年先に自分がどんな仕事をしているかもわからない。そういう時代がやってくる。

残酷な「お見舞い」

 日曜日。会社の先輩に会いに、自宅を尋ねた。がんで治療中だ。会うのは2年ぶり。体重が30キロ台まで落ち込んでいるのは、事前に知っていたから、どんな様子でも、驚かないようにしようと心に決めていた。

 でもショックだった。どす黒い肌の色。ズボンがずり落ちそうなほど細い腰。日々、病いが体力を、先輩の体を、確実に奪っている。病いとたたかう壮絶な日々を想像した。

 話を始めると、元気だった頃と同じような気持ちで先輩と話せている気がした。自分で冗談を言っておいて、ニコリともしない話し方。理屈っぽくて、何が言いたいのかわからないような話し方。「あー、変わってない」と思うと、相手が病人だと言うことも忘れて、ジョークも言える。

 話している時にふと感じた。今、先輩の前で何か表面的な言葉で取り繕っても、ウソをついても、全部見破られそうだ。心が見透かされている。

 

 私がここに来た意味も。話したいことも。聞きたいことも。私の悩みも。説明をしなくても、今の先輩にはすべて読めているんじゃないか――。

 

 自分ですら、どうして先輩に会いに行こうとしたのか、よくわからなかったのに、帰る時には、はっきりしていた。

 仕事に迷い、このまま仕事を続けて良いものか悩んでいた。病いのせいで、仕事を休み、戻るめどがない先輩に、その悩みの答えを求めていた。

 なんて残酷な「見舞い」だろうと思う。

 

 それでも先輩は答えをくれた。

 考えろ、と。

「みんな考えなさすぎなんだよ。おれがちょっと考えただけで、考えすぎだと言われる。それぐらいみんな考えなさすぎ。病気になって本当によくわかったよ。人より少しでも考えていれば、絶対に負けない。何かに流されることもない」

 

 仕事を続けるべきか悩む前に、まずは仕事に向き合え――。そう言われている気がした。向き合っている「つもり」になっていた。入社して10年がたち、それなりにわかってきた気がしていた。勝手に「限界」や「飽き」を感じていた。周りもみんなそんなもんだから、と勝手に決めつけていた。

 

 そしてもう一つ、大切なことを教えてくれた。

 Readiness、だと。

 「初めて役職に就いた時、何も準備できていなかった。病気になった今なら、あの時、何をすべきだったのかがわかる。」

 いつか役割を任される。任されたときに初めて、「さあどうするか」じゃ遅いんだよ、と。もし自分があのリーダーになったら、もし自分があの仕事を任されたら。そういうことを考えて準備をしているか。

 まったく考えていなかった。私は今のことに精いっぱいだ。

 暇な部署に配属された今の私は、この暇な生活に流されている。このままじゃきっと後悔する。いつかまた元の部署に戻るだろう。その時、私が十分な仕事をできるだけの準備ができているか。

 

 何をすべきか。

 考えること。そして、準備を整えること。

 調べる。考える。伝える。そして基礎的な能力を高めておく。語学。健康。心安らげる家族関係。

 

 先輩からメールがきた。

 もし、何か思うところがあったのなら、すぐに行動に移して欲しい。そしてそれを私に伝えて欲しい。悲しいことに、必ず人の熱は冷めるから。

 

 やっぱり見透かされている――。

特別養子縁組コーディネーターという仕事があるらしい

フローレンスの駒崎さんのツイッターが目にとまった。
特別養子縁組コーディネーター募集中--


フローレンスのHPの説明を開いて、具体的な仕事内容をみてみた。
「養子縁組を希望する妊婦さんに会いに行き、実際に会って話しを聞く面談やカウンセリングを行う。まだ病院にかかってない場合は病院探しを手伝い、受診に同行する。支援を続ける中で産みの親が出産に至り、養子縁組で赤ちゃんを託す決意が変わらない場合は、育ての親へ赤ちゃんを委託する。この後も、家庭裁判所特別養子縁組が成立するまでは、産みの親・育ての親の双方への支援はたくさんあります。」

florence.or.jp

 


心が動く。
あぁ、こういう仕事ができたらいいなと思う。
募集する人材として、資格はなくてもいいけど、看護師、助産師、社会福祉士社会福祉主事は優遇されるらしい。


今すぐ、仕事を辞めて面接を受けよう、とまではまだ思えない。
それでも、こういう資格を持っていたら、何か貢献できるかもしれないんだ、と思った。


養子縁組。里親。
こういうものに興味がある。何か役に立てないかと思う。
あまりにも自分は関係のない仕事をしているけれど。資格も経験もないけど。あるのは2歳の子どもを育てているというだけだけど。
一人でも多く、子どもが幸せになってほしいと思う。
つらい状況で泣いている子どもが一人でも減る社会になればと思う。

どういうアプローチで、自分が貢献できるのか。もっと具体的に考えてみようと思う。


パートナーとは、ニュースへの意見や考え方があわないことが多いけれど、虐待に関するニュースだけは重なる。虐待件数が増えているとか、幼い子どもが亡くなったというニュースがあるたび、彼も私も反応する。
解決に向けたアプローチの考え方が違うような気がするけど、それでも、幼い子どもが虐待されているのはたまらない、という点で一致できるのは救いだ。

初めての確定申告、東京国税局の相談窓口にいってきた

初めての確定申告に行ってきた

昨年、マンションを買ったので、住宅ローン控除を受けるためだ。 

自宅で申請書を書こうにも到底、一人では書けそうにないし、e-TAXをするにはマイナンバーカードとカードリーダーが必要らしいと知って、仕方なく東京国税局の相談窓口に向かった。

 

到着したのは朝9時45分。

「住宅ローン控除をうけるために。相談にも乗っていただきたいのですが」とだけ言うと、「青色のカウンター」を案内される。すでに並んでいる。

「時間かかりますか?」

「そうですね、1時間ぐらいはかかっちゃいますかねー」

廊下の列に並ぶ。

しばらくすると係の職員が、列に並んでいる人に、簡単な申告理由を聞き、ファイルを渡している。

前に並んでいる人の話を聞いていると、「株を売却して利益が出て・・」とか「マンションを売却して・・」とかいっている。

サラリーマンで、確定申告と無縁だった私からすると新鮮だ。こういう何でもないおっさんが株を持ってるわけね。。。

 

広い会場に入ると、記入するための台がびっしり並び、みななにやら書き込んでいる。それを職員が巡回しながら、教えてくれるようだ。てっきりマンツーマンかと思っていたけれど、そうじゃないらしい。でもその方が気楽だ。なにせ、私は申請用紙には何も書かずに来てしまった。

(でも結局はそれが正解だったことがあとでわかる)

列の後ろの方で赤ちゃんのぐずる声が聞こえた。赤ちゃんを抱っこしたお母さんが並んでいる。つらそうな表情だ。順番を変わろうかと迷った。でも、私の前に彼女を入れれば、後ろの人からにらまれそうだ。

結局、何もせず、私の番がきた。並びはじめてから30分がすぎていた。

 

記入台で、まず手渡された緑色の用紙を書き込む。何のために来たのかを記すものらしい。ネットでダウンロードして印刷して持ってきた「申告書A」だの「計算書」だのを引っ張り出して書こうとしていると、

近くにいた職員に声を掛けられた。

「あー、これは書かなくて良いです。あとでパソコンで入力してもらいますから。そのために必要なこのシートに数字を埋めといてください」シートに、借入金の残高や、土地の面積、建物の面積などを書き込む。

わかりにくいーーーー。

近くにいる職員に声を掛ける。

「途中まで書けたんですね」

「はい。ここからわからなくて」

「わかりました。見せてください」

まるで学習塾の生徒と先生だな・・・。

 

結局、「先生」は残りを全部記入してくれた。

これがけっこう、恥ずかしい。

年収、家族構成、買ったマンションの額、借金の額・・。

全部見られている。

税務署なんだから当たり前といえば当たり前なんだけど。

幸い、「先生」は、超事務的で、慣れた手つきで書き込んでくれる。まるで数学の問題のように。

「必要なものはそろっていますか?」と聞かれ、源泉徴収票やら、マンションの契約書など一式を茶封筒に入れられ、次はパソコンコーナーへと促された。

 

「パソコンコーナー」もすごい。

ざっと100台ぐらいはあるだろう。そこでみなパソコンに向き合っている。待たされることなく、パソコンを案内された。パソコン画面で、さきほどのシートに沿って数字を打ち込む。

パソコン操作には苦労しないはずなのに・・・再び「先生」を呼ぶはめになる。

 

「すみません。こういうエラーが出るんですが」

「はいはい」と今度はおっちゃん風の先生がみてくれた。

パスワード登録の際、確認用の入力のところで、間違ったものを打ち込んでいた。イージーミス・・。場の空気に飲み込まれたか。

 

入力が終わる。

最後まで終わると、そばにいた若い兄ちゃん「先生」を呼ぶ。

若い兄ちゃん先生は私の答案を全部みて、目の前で採点してくれている感じだ。「はい。これであとは印刷コーナーで印刷してください」

 

まだあるのか。今度は「印刷コーナー」へ。印刷し終えた用紙をチェックしてもらうコーナーらしい。またまた長蛇の列・・。

でも私の前に、さっき後ろにいた赤ちゃんとそのお母さんがいるのを見つけた。

よかった、スムーズに終わったんだ。

私も最終確認を終えて、資料を全部そろえて、「ポスト」に入れて、終了!!!!

 

国税局に来てからかかった時間は、全部で1時間45分。

 

私は還付金(40万円!)をもらうという大きな動機があるし、私と同じように、還付金のために申告している人もいるだろうけど、しかし、そもそも、税金払うために、なんでこんな大変なんだろう・・・。

ちょっと疲れたのでファミマでスイーツを探した。

 

昔、政治家か誰かがいっていた。日本人はみな、一度は確定申告をする制度にすべきだと。そうすれば、納税者としての意識が高くなり、選挙にも行くし、政治への問題意識も高まるからと。

納得できる部分もある。ふだん、自分が住民税や所得税をいくら払ってるのか、まったく意識しない。 

とはいえ・・

もっと楽に確定申告させてほしい。小さな赤ちゃんがいるお母さんでも、立ちっぱなしの作業がつらいおじいちゃんでも、忙しい人でも並ばなくてもいいように。

しかし、初心者がやるには、あまりにもe-TAXは分かりづらいし、マイナンバーカードとICカードリーダーが必要だし、書類の記入方法はどんなにHPをみてもわからないし。

 

ここで、私と同じように、住宅ローン控除を受ける人のために必要な書類をまとめておく。

源泉徴収票(職場で入手)

・マンションの不動産契約書のコピー(自宅にある)

・登記事項説明書(法務局で入手)

マイナンバーがわかるもの

・身分証明書(免許証など)

・還付金の振込先の金融機関名、口座名、口座番号がわかるもの

 

マイナンバー制度には正直いって抵抗感の方が強かった。でも、今日、丸裸にされて、改めて思う。もうすでに丸裸にされてるじゃん。あの税務署の「先生」たちを前に、さらけ出した。

副業を隠してる人とか、株で儲けてうまいことやってる人はいるんだろう。でも、悪いけどそんなことする余裕もないし、一応、正直に生きている。もう導入しちゃった以上、マイナンバーカードでもっと便利にして欲しい。

帰り際。私は若い「先生」に聞いた。

マイナンバーカードがないと、e-TAXできないんですよね?」と。

すると「いや、暫定措置でマイナンバーカードがなくてもできますよ」という。こういうことらしい↓

こんな案内、国税局にきて初めてもらったぞ。国税庁のHPではマイナンバーありきだったのに・・・。

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 マイナンバーについて、気になったニュース↓

 

最近あった年金の過小支給の問題。マイナンバーの記入など項目が増えた事が原因だったらしい。業務が効率化されるはずなのに。まさに本末転倒・・

日経

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27673180T00C18A3EA2000/